ゲーミングPCのOSをPop!_OSにした話
昨年、 ゲーミングPC を自作しました。
OSは Ubuntu で、Protonレイヤーを使い、Steamのゲームを楽しんでいます。
先日、そんなゲーミングPCが突然壊れ、OSをUbuntuから Pop!_OS に変更して復旧させました。
今回はゲーミングPC復旧までの経緯と、なぜUbuntuでなくPop!_OSにしたかについて書きます。
PCが突然壊れた
それは、ある日突然訪れました。
いつものようにゲームをしようとPCを立ち上げると、
ログイン画面の Ubuntuロゴがいつもより横に長いような気がします…!?
気にせずログインすると、
自動起動の Steam Big Picture モード が立ち上がらない !!
よく見ると解像度が 1024×768 に固定され、インターネットにも接続できていない。
OSさーん、
(・_・)ノ なにもしてないのにこわれました
10分で復旧は諦めた
そういえば、前日ゲームプレイ中に、
NVIDIA ドライバー周りでエラーダイアログが出ていたのを思い出しました。
試しに lsmod や
$ lsmod | grep -E 'nvidia|r8169|e1000|rtl|igb'
何も出ない
ip addrコマンドや
$ ip addr
(loだけ出てくる)
dkmsコマンドで確認すると
$ dkms status
(コマンドがありませんみたいな応答)
(※壊れていてキャプチャも退避できないので正確なレスポンスを残しておらず、すみません🙏)
GPU どころか NIC ドライバまでロードされていない 状態。
これでは復旧しようにも、apt も dpkg も使えないので身動きが取れない!\(^o^)/オワタ-
(USBブートしてデータを送り込めばできるかもしれないけど、それは面倒!)

ということで、10分で復旧するのは諦め、OS再インストールの方向へ舵を切りました。
PC構成
- マザーボード: ASRock A520M-HVS
- CPU: Ryzen 5 5600
- GPU:GeForce RTX 4060
- メモリ: 32GiB(DDR4)
- Storage: NVMe SSD 512GB + SATA SSD 1TB
この構成で2024年10月時点で 10万以下 でした。
10万円のPCに対して、1万円以上するWindowsのライセンスは相対的に大きい!
ならば「 Ubuntuでいいじゃん!僕プログラマーだし 」
っていって、やってみたら問題なく構築成功!
ドラクエ11Sや、HD2D版III、I & IIは余裕で最高画質で動くし、
FF7 REMAKE / REBIRTH も設定を調整すれば何とか遊べています!
Ubuntu への再インストール…のつもりが
というわけで、再インストールの準備を始めたのだけど、
よくよく考えたら、半年前にも同じようなことをやった記憶が蘇りました。
「もしかして、 Ubuntu + NVIDIA って壊れやすいのでは?」
と思って ChatGPT に相談してみると、
返ってきたのが Pop!_OS 推し。
AIに言われたとおりに動くわけにはいかないので、もう少し調べてみましょう。
Ubuntu × NVIDIA が壊れやすい理由
Ubuntu × NVIDIAは「壊れやすい」と言われます。
それは、このような条件があるためです。
- Ubuntu Desktopは半年ごとにカーネルを更新する
- Desktop版 Ubuntu LTS は、より最新のハードウェアをサポートため、HWEカーネルと呼ばれるサポート期間の短いカーネルを適用するらしい。ということが、ここに書いてある: https://jp.ubuntu.com/blog/how-often-do-you-apply-security-patches-on-linux-jp
- UbuntuでNVIDIAボードを利用する場合、デフォルトのドライバを無効にして、NVIDIAの公式ドライバをインストールするのが一般的
- 「
Ubuntu NVIDIA」で検索してみればそういったノウハウがいっぱい出てきた。 - 公式のドライバでは最新のゲームが動かないとかあった気が(よく覚えていない)
- 確かに
sudo add-apt-repository ppa:graphics-drivers/ppaとか最初にやった記憶がうっすらと蘇ってきました
- 「
するとこうなります。
- OSが自動でカーネルをバージョンアップする
- そのことを知らない NVIDIA 公式ドライバ(DKMS)が壊れる
- 依存関係が壊れて NIC ドライバなど他のモジュールも巻き添え
- 1024x768固定解像度、ネットワークに繋がらなくなる ← 今回も、半年前も起きたこと
それが嫌なら次のどれかというわけです。
- 公式ドライバーを使う(安全だけどゲーム体験が悪い)
- Ubuntu Serverを使う(GUIの設定とか面倒そう)
- さもなければ半年に一回OSを入れ直す覚悟(最新カーネル使うぜおらおら!)
Pop!_OSとは何か
では、Pop!_OS とは何か?
結論から言うと、Linux専用PCメーカー System76 が作っているOSらしいです。
特徴はこんな感じ。
- Ubuntuベースのディストリビューション
- NVIDIAのドライバーを含んだディストリビューションを配布している
- つまり、自分で
add-apt-repositoryとかしなくて良い
- つまり、自分で
- 最新LTSバージョンは
22.04
そりゃまあ。
「OSアップデートしたらグラフィックがクラッシュしました」
なんてことになったら、自社PCユーザーからクレームになるでしょう。
それに、ゲーミングPC売ってるようなので、なるべく新しいドライバーを適用したいですよね。
これはいかにも安定しそうな構図。
きっと、ハードウェア互換性だけでなく Steam、Proton の動作まで最適化されているでしょう。
その投資に自作PC勢の我々も便乗させてもらおうというわけですね!🙏
ただ、弱点としては、現時点でLTSが 22.04 という少し古い Ubuntu がベース。
24.04 はまだBeta版です。
最新のLinuxカーネルを使ってオラオラしたい勢には物足りないかもしれないしれないですが、
ゲーミングPCとして、割り切って使うなら、最適解の雰囲気がします。
これで半年に一度のOS入れ直しから解放されるなら嬉しい話です。
Pop!_OS のインストール
まず、 Download Pop!_OS から Pop!_OS 22.04 LTS with NVIDIA をダウンロード。
続いて、USB を作成。
ここで、ちょっとだけハマりました。
初めはUniversal USB Installer を使って、USBを作成。
USBブートしてOS起動。インストーラーを開始。
すると、
Pop!_OSのインストールに失敗しました。ハードウェアのエラーが原因と思われます。
というメッセージが出て、インストール失敗!
ログを見たらブートローダーの書き込み周りでエラー出ていました。
どうやら、Universal USB Installer は
最近のLinux(特にEFI + systemd-boot)と相性が悪いらしい。
気を取り直して Rufus で焼き直したところ、あっさり成功しました。
SteamはPop!_Shopからインストール
次は Steam のインストールですが、Ubuntu時代に苦い思い出があります。
UbuntuのアプリセンターからSteamをインストールすると、 Snap 版の Steam が入ります。
これは、ざっくり言うと、Microsoft Store版のアプリみたいなものです。
安全な代わりに、色々と制限されています。
僕はこれをやらかしてしまい、SSDを増設したときに認識しなくてそれが判明!
どうやら
「 UbuntuでSteamをいれる場合は、aptからいれるべし 」
というのが常識のようです。
そして、Pop!_OS には Pop!_Shop があります。
ここからインストールできる Steam は、deb版 Steam のようです。
System76の公式サイトでは Gaming on Pop!_OS にて、
Install Steam From the Pop!_Shop として
Pop!_Shopでのインストール方法を第一に紹介しています。
(コマンドラインでの sudo apt install steam も併記)
ここは公式に従ってみます。

僕は一般的に “Platform on Platform” は罠だと思っています。
Python、Steam、Chrome、VSCode このような独自のエコシステムを持つ「プラットフォーム」を、Microsoft Store や Snapのような「アプリプラットフォーム」の配下で動かすとだいたい何か問題が起こります。
その点 Steam on Pop!_Shop は例外のようです。
まぁ、ゲーミングPCにとって SteamはOS みたいなものだから、そこも安定させるでしょうしね。
便乗しましょう。ありがたく。
使ってみた感想
Steam 起動直後はゲームパッド認識や Big Picture モードがやや不安定でしたが、
何度か Steam を再起動したら正常に動作するようになりました。
安定した後は、UbuntuよりもスムーズにBig Picture モードに切り替わるように思います。
NVIDIA ドライバーは最初から最新の 580 系!
FF7 REMAKE/REBIRTH も問題なく動作します。
ただし、表示は英語表示がデフォルト。
日本語化するためには手動設定が必要です。
しかも日本語入力ができない!
手動設定で IBus とか Mozc とか設定したら日本語が入力できるようになりました。
このあたりは、Ubuntuに軍配が上がりそう?
デスクトップは非常にシンプルで、ゲームをするためには必要十分という感じがします。
OS起動から、Steam Big Pictureモードの起動までのチラツキがUbuntuよりもない気がします。
まとめ
Ubuntu + NVIDIA環境が半年おきに壊れる経験をした。
そんなあなたに Pop!_OS
Pop!_OSはNVIDIAグラフィックボードを使った Steam 利用に最適化されています
ゲーミングPCを自作したけど、Windowsのライセンスを買いたくない、ケチなあなたに朗報!
NVIDIAドライバーを統合したゲーミング環境を日々メンテしてくれている、System76のチームに感謝して使わせていただきましょう。
こんにちは、Pop!_OSくん!
今後は一緒に、ゲームを楽しんでいこうね!
